【派遣サービスを適切に利用するために】特定行為の禁止とは

派遣社員を受け入れる際、「事前に面接をして、最も適した人材を迎えたい」と考えられたことはありませんか。しかし、その意向を派遣会社に伝えると、「それは特定行為に該当するため、対応できません」と言われ、疑問に感じた方もいらっしゃるかもしれません。今回は、派遣社員の特定行為について説明します。

特定行為とは

労働者派遣法では、誰を派遣するかを決める(特定する)権限は、派遣社員の雇用元である派遣会社にあります。そのため、受け入れる派遣社員を派遣先が選考したり、指名したりする行為は認められていません。これは「特定行為禁止」と呼ばれています。
派遣会社がその責任の下で派遣社員を決定する、これが労働者派遣制度の基本的な考え方です。そのため、派遣先による事前面接はもちろん、現在受け入れている派遣社員の再派遣を求める行為も認められていません。

特定行為が禁止されている理由

派遣先による特定行為が禁止されている理由は、大きく2つあります。

1.派遣社員を選考(特定)する責任は派遣会社にあるため

派遣社員を受け入れる際、派遣先は派遣会社に対して「担当する業務」「必要な資格」「望ましい経験」等を伝えます。派遣会社は、これらの条件を踏まえて人選をします。つまり、派遣社員の選考(特定)は派遣会社で完結しているため、派遣先が改めて選考する必要はない、というのが労働者派遣法の考え方です。
言い換えれば、派遣会社には、条件に即した派遣社員を適切に派遣する責任があるといえます。ミスマッチが生じないか気がかりな方は、以下をご確認ください。

2.雇用元である派遣会社の判断に、派遣先が介入してはいけないため

派遣先と派遣会社との間で締結される派遣契約は、労務の提供を目的とするものであり、特定の労働者を派遣するものではありません。派遣先が事前面接等を行って誰を受け入れるかを決めてしまうことは、雇用元である派遣会社が本来負うべき判断や責任に関与することを意味します。
労働者派遣法では、こうした派遣先による関与を「特定行為」と位置付け、派遣会社の雇用判断の独立性を損なう行為として禁止しています。この規制は、派遣先と派遣会社それぞれの役割を明確にし、適正な派遣就業の実現を図るためのものです。

特定行為の例外

ただし、以下のような例外もあります。

  • 紹介予定派遣の場合
    職業紹介サービスと派遣サービスを組み合わせた紹介予定派遣では、派遣先への直接雇用が前提であるため、書類選考や事前面接が認められています。
  • 派遣社員本人が希望する場合
    派遣社員が、自らの適合性を派遣先の判断に委ね、履歴書や職務経歴書等の事前提出や面接を希望した場合においては、派遣先による選考行為が認められています。ただし、派遣先や派遣会社が、派遣社員にそれを希望するよう誘導する行為は禁じられています。

なお、派遣社員が就業開始前に派遣先を訪問し、事前に職場を見学したり、業務内容を確認したりすることは特定行為には該当しません。