【違法派遣に要注意】その受入れ、違法行為になっていませんか

「労働契約申込みみなし制度」とは、違法派遣を受け入れた派遣先等が、該当する労働者に対して労働契約の申込みをしたとみなされる制度です。制度の適用対象となると、派遣社員もしくは請負社員が希望した場合、派遣先には当該社員を直接雇用する義務が生じます。

「労働契約申込みみなし制度」の対象となる違法派遣5つの事例

以下の事例に該当するケースが違法派遣です。派遣先は、違法派遣を受け入れた時点で、労働契約を申し込んだとみなされます。

1.派遣労働者を禁止業務に従事させる

禁止業務とは、港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関連業務(医療関係業務については紹介予定派遣、休業する労働者の代替の場合は派遣可能)です。

2.無許可事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける

派遣会社の許可取得状況は、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」で確認できます。

3.事業所単位の派遣期間制限違反

過半数労働組合もしくは代表社員に対する意見聴取を正しい手続きで行わずに、3年を超えて派遣社員を受け入れた場合、期間制限違反となります。

4.個人単位の派遣期間制限違反

同一の派遣社員を、3年を超えて同一の組織単位に従事させた場合、期間制限違反となります。

5.いわゆる偽装請負等

請負等の名目で契約し、事実上派遣状態になっているケースが偽装請負等にあたります。派遣法の適用を逃れることが目的の場合はもちろん、そうでない場合も、結果的に就業状況が派遣と同様になると制度が適用されます。

偽装請負には特に注意が必要です

違法派遣5つの事例のうち、1から4が起こることはほとんどありませんが、5の偽装請負は無自覚な違法行為として発生するケースが少なくないため、特に注意が必要です。

請負サービスを利用する際の注意点

請負は、発注会社の社員が行っている業務を請負会社が受託するサービスです。人材派遣との違いは指揮命令権の所在で、請負では請負会社、人材派遣では派遣先に指揮命令権があります。請負サービスの利用を、請負会社の従業員が発注会社の事業所内で働くオンサイトで行う場合に、実態が派遣状態になるケースが起こります。目の前にいる請負会社の従業員に対して発注会社がつい指示をしてしまうからです。たとえ悪意がなかったとしても、これは違法行為である偽装請負にあたります。

違法派遣を受けると、派遣社員または請負会社の従業員が直接雇用を希望した場合、派遣先は断れません。現場と管理部門で認識が異なることもあるので、組織の労働実態の確認が必要です。
なお、派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ知らなかったことに過失がない場合、制度は適用されません。