【人手不足解消の糸口】経験豊富なシニア人材・柔軟に働けるパートタイマーの活用
昨今は、業界を問わず人手不足が深刻です。有効求人倍率は依然として高く、売り手市場が続きます。人材の確保に苦慮されている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、シニア人材・パートタイマーの活用を取り上げながら、従来の枠にとらわれず、多様な人材を活かすことについてお伝えします。
労働力人口は高齢化
2024年の統計データによると、労働力人口そのものは増加傾向にあるものの、高齢化は確実に進んでいます。24歳以下の新卒・第二新卒はわずかに増加していますが、25~44歳の若手から中堅・ベテラン層は減少傾向にあり、600万人に満たない状況です。
一方で、45歳以上、特に65歳以上の人口は増加しています。このような傾向を踏まえると、不足している人材を補うためにいわゆるシニア層の採用を検討することは、人材確保の解決策の一つであるといえます。
経験豊富なシニア人材が人材不足解消の糸口に
シニア人材の採用に関しては、次のような声を耳にすることがあります。
「スキルは高くても、プライドが高くて扱いにくいのでは」「経験がある分、自分のやり方に固執してしまうのでは」「年下の上司に対してくだけた口調で接し、関係がぎくしゃくしてしまうのでは」といった懸念です。では、本当にそうなのでしょうか。
確かに、一部には柔軟性に欠け、過去の経験に頼りがちな方もいます。一方で、新しい職場に馴染もうとする姿勢があり、年下の上司や同僚にも敬意をもって謙虚に接する方、指示された業務を丁寧かつ確実に遂行しつつ、経験を活かして適切な改善提案ができる方、指揮命令系統を乱さず、周囲の方と円滑なコミュニケーションが取れる方等、優秀なシニア人材も大勢います。
就労意欲の高いシニア人材は、勤務態度がまじめで離職率も低いといわれています。実際、定年退職後に再雇用という形で、経験豊富なベテラン社員が活躍している企業も少なくありません。
パートタイマーの活用で広がる選択肢
「フルタイムで週5日就業でき、残業にも対応できる人を確保したい」といった声もよく聞きます。確かに、そのような人材を採用できれば生産性は高まりますが、人手不足が続く中、最適な人材の採用は容易ではありません。
考え方を変えれば、選択肢は広がります。例えば、週3日勤務で残業不可のパートタイマーを3名採用し、シフトで回すという方法もあります。管理の手間は増えるかもしれませんが、人材を確保できないまま業務が止まってしまう状況と比べれば、十分に有効な選択肢ではないでしょうか。
派遣サービスの活用という新たな解決策
人員の採用や管理が負担である場合は、派遣サービスを活用するのもおすすめです。派遣サービスなら、フルタイムのお仕事に対して、パートタイムでの就業を希望する複数名の派遣社員を受け入れることができます。さらに、派遣会社が就業後の給与支払手続き、社会保険・雇用保険入退出手続き等を行うため、労務管理の手間はかかりません。
また、派遣社員が60歳以上の場合は、事業所単位・個人単位ともに、派遣法による派遣可能期間の制限を受けません。そのため、まじめで能力の高いシニア人材を長期的に受け入れることもできます。
少子高齢化が進む日本では、人口の減少や高齢化の加速に伴って、労働力の減少が予想されています。そのため、「限られた人員で、これまでの業務量にどのように対処するか」は大きな課題です。
この課題に対応するには、求めるスキルや勤務時間等の採用条件をどこまで柔軟に調整するかが肝要です。固定観念にとらわれず、多彩な人材の力を活かす戦略は、これからの人材確保の鍵となるかもしれません。