偽装請負とは?

偽装請負とは、契約上は「請負契約」でありながら、実体は人材派遣の状態であるケースをいいます。たとえ悪気がなかったとしても、これは違法行為にあたります。

請負サービスとは

請負は、発注元が自社で行っている業務を請負会社に委託し、請負会社がその業務を遂行するアウトソーシングサービスです。生産性の向上や経営の合理化を図る手段として、製造委託やシステムの開発等、有形・無形を問わず、様々な業務で活用されています。

請負サービスの活用事例

請負業務は、オンサイト(発注元の事業所内)で行われることが少なくありません。例えば、製造ラインを貸し出してオペレーションのみを委託するケースや、セキュリティの関係で発注元がサーバーやPCを貸し出して開発を委託するケースがあります。この他にも、研究開発業務、警備、清掃、事業所内の植栽管理等、様々な活用事例があります。

人材派遣と請負の違い

指揮命令権は、人材派遣では派遣先、請負では請負会社にあります。そのため、請負契約の場合は、発注元が請負会社の従業員に指揮命令をすることはできません。
特にオンサイトの請負では、発注元の従業員と請負会社の従業員が同じ場所で働くため、発注元が請負会社の従業員に対してつい指示をしてしまうケースがあります。このような状態は偽装請負に該当するため、注意が必要です。

発注元ができることとできないこと

請負契約では、請負会社が業務の遂行や成果物に関する責任を負います。そのため、請負会社の従業員に対する指揮命令や労務管理も、請負会社が行います。
発注元は、成果物の仕様や品質、納期や進め方等について請負会社に確認・調整することはできますが、請負会社の従業員に作業の指示をしたり、採用や勤怠管理に関与したり、能力を評価したりすることはできません。

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請負、オンサイトでの請負、偽装請負を比較した図解。発注元、請負会社、従業員の関係と、偽装請負が違法であることを示している。

偽装請負が発覚した場合

請負契約でありながら、実態は労働者派遣の状態にあると判断されると「偽装請負」とみなされ、法令違反となります。発注元(派遣先)には、労働者派遣法に基づく「労働契約申込みみなし制度」が適用される場合があります。
請負会社についても、派遣事業の許可を得ていない場合は無許可の派遣実施、派遣事業の許可を取得している場合でも、行政指導や業務改善命令、業務停止命令、社名公表等の措置を受ける可能性があります。

偽装請負を防ぐためのポイント

請負サービスを適切に利用する際は、以下の点に留意しましょう。

  • 発注元が請負会社の労働者に指揮命令をしてしまうことがないよう、契約の段階で作業内容や手順、成果物の仕様等を明確に定める
  • 発注元は、指揮命令を目的として自社の従業員を請負会社に出向させない
  • 契約で定めた作業内容を変更する場合は、請負会社の従業員ではなく管理者と協議する
  • 発注元は、個々の労働者の勤怠管理や評価、欠勤時の人員補充や採用等に関与しない

請負と派遣サービスを併用する際の注意点

請負と派遣サービスを併用する場合は、両者の違いを明確に認識した上で運用する必要があります。その場合は以下の点に注意してください。

  • 派遣労働者を受け入れる場合は、派遣事業の許可を持つ派遣会社と派遣契約を締結する
  • 派遣社員には、必要な教育訓練と指揮命令を行う
  • 労働基準法や安全衛生法等の法律に基づき、自社の従業員と同じように派遣社員を適切に管理する
  • 事業所では、請負会社の従業員と派遣社員を区別できるようにする(請負会社の従業員の職種を変える、腕章をつける等)

請負サービスは、請負会社が業務を遂行します。そのため、発注元は請負会社の従業員に指揮命令を行うことはできません。業務の性質上、発注元が頻繁に指揮命令を行う必要がある場合は、請負ではなく人材派遣の方が適しているケースもあります。双方の違いを理解し、契約形態に応じてサービスを利用しましょう。
請負と人材派遣の区分や判断基準等については、厚生労働省が疑義応答集を公開しています。併せてご確認ください。